怖い斜め壁のひび割れ
この写真は昨年、週末起業中の地元大田区での
マンション調査にて出合った劣化現象です。
築10年程度とのことでしたが、斜め壁に
幅0.5mm程度のひび割れが生じてました。
手前のひび割れが白くなっているのは、ひび割れ
部分から雨水が滲み込んで、コンクリート内に
浸入してしまい、コンクリート内部のアルカリ成分が
融け出して来たものです。
こうなると強いコンクリートも、このひび割れ
周辺はコンクリートのアルカリ成分で守っている鉄筋の
錆の発生を抑えられません。
こうして、数年内に鉄筋は腐食して膨張し、周辺の
コンクリートを壊します。いわゆる鉄筋腐食によるコン
クリートの爆裂っていう現象です。
今回、これが斜め屋根に出ているのが怖いですね。
そのうち雨漏りするのではという現象ですものね。
この現場は斜め屋根にウレタン塗膜防水という防水層が
施されておりました。
この工法は、現場で防水材を塗るので継ぎ目が無くて
ある意味で理想的なんですが、防水層は厚みが生命ですよね。
また、斜め屋根にカタログどおりに厚みを確保するという
施工は職人さん泣かせでして、ベテランの親方が出る番でも
ある領域なんです。この現場は1ミリもなかったようで、
ゼネコンからの低コスト要求に押された、下請け会社側から
すれば仕方の無い部分というところが10年経って現場に現れた
ケースと言えますね。
デベロッパー系の管理会社は、長期修繕計画の中の大規模
修繕工事で、予防保全?するプランを出して来ているようですが、
住民の中で疑問を持たれた方が当方に依頼をされたようです。
最近のマンションは建築中の現場見学とかさせてくれるよう
ですが、10年前は無かったので、ゼネコンの下請専門施工業者に
対する低コスト要求が、このように数年経って現れるケースが
後を絶ちません。
管理会社任せにせず、早め早めに手を打つ時代になって来ている
のかも知れませんね。
投稿者 地元の建物のお医者さん : 2008年01月05日 03:34 | コメント (0) | トラックバック
住宅クレーム事例及び対策と最近の傾向
月刊PROOF2005.8月号 篠塚 重夫氏
(財)住宅保証機構 技術管理部長編より参考及び抜粋
1.保証事故は増大しているか?;
ここ数年の保証事故による支払い事例を見ると13年度62件、14年度109件、
15年度163件、16年度283件となっており、明らかに発生件数は増加しているが、
登録住宅の急増に伴うもので発生率そのものが急激に増大しているという訳ではない。
2.保証事故が減少した部位とその要因;
外装面ではモルタル塗りに代わってサイデイングが普及し、それと共に雨漏りも増大したが、
この対策として考案された通気工法は、外壁の性能を上げると同時に、雨漏りの減少にも効果
を上げた。但し、注意すべき点は、透湿防水紙の施工を丁寧に行うことと、風などの影響を受
けないように養生をきちんとする、通気胴縁の大きさや厚さをマニュアルに則り確実に確保すること、
特に接合部については、止め釘部に応力が集中するため、接合部から20mm以上離して釘
を打つ必要がある。90mm×15mm以上の胴縁を使用すること。また、サッシュ廻りについては
防水テープを下から横、横から上へとに施工するなどである。
3.事故が増えた部分とその要因;
①バルコニーの問題:
●サッシュ下端からの雨水の浸入のケース
防水納まりとしてサッシュの取付前に施工するのが望ましいが、大工さんはそんな面倒な
段取りをしたがらない。サッシュが付いた後に防水工が入るが、最近のバリアフリー化の傾向
からかサッシュ下の高さが確保されていないために、防水工の手が入りにくい状況になる。
そんな施工で雨漏りが発生すると、大工さんは防水工のせいにし、防水工は設計と納まり
が悪いと言う。ほんのちょっとの気遣いなのだが・・・。
対策としては、サッシュを取り付ける前に防水工事を行うこと。そして、サッシュ下の高さは
120mm以上確保すること。
●手摺の取付方法と納まりの問題
デザインや風通しを配慮し、立上り壁の高さを抑えて、その上に手摺をつけるケースが
あるが、手摺の取付方法によっては構造体、防水層まで影響を受けることがある。まして布団
干しなどで加重がかかるため、手摺固定部分からの雨漏り事例が多い。
対策としては、手摺はなるべく避けるか、防水機能や構造面を考慮した取付方法を採ることで
ある。また、面積も20㎡以内としたい。
②陸屋根の増大:
最近の傾向で増大している陸屋根であるが、a.敷地が狭い。b.木造3階建が多くなってきた。
c.材料、施工制度が良くなってきた。d.金物の導入で建物の剛性が高くなった。
という理由だが、陸屋根は防水工事の施工に全てを依存することになるため大変重要な
部位になっている。
③カビの問題:
高断熱住宅とうたった木造住宅においては、雨漏りや結露が思いがけない被害に繋がる
ことがある。気密性を高めた住宅では、これまで問題にならなかったほんのわずかな隙間
部分に結露等が発生する。そして、雨漏りや結露による壁体内に溜まった水分が、ものす
ごい速さで(1~2年のケースもある。)黒カビの増殖を招き、気づいた時には柱や土台や
構造用合板などが腐ってボロボロになっているなどの被害につながる。そして、このカビが
シックハウスの原因物質のひとつでもあるのだ。カビの成長・繁殖をもたらす元は「栄養源」・
「温度」・「湿度」である。カビの繁殖する環境を抱えている現代の住宅。この問題が一気に
加速された背景には、最近急速に普及した住宅の気密・断熱化と密接な関係にあるのでは
ないか?
④窓枠廻り:
雨漏り関係での事故で特に問題になるのが窓枠廻りからの雨水の浸入である。この場合の
事故の特徴は、雨漏りを起こす箇所が1箇所ではない事例が多いことである。原因は、前述
のルーフバルコニー事例にもあるとおりだが、さらに追加するとすれば防水紙とサッシュ廻り
の施工が雑または間違っているものと思われるが、注意をして施工すれば簡単に防ぐことが
出来る。修補には多額の費用がかかるので業界あげて注意を促したいものである。
それだけに工事監理面においては、最も注意すべき部分ではある。
投稿者 地元の建物のお医者さん : 2006年03月31日 22:35 | コメント (0) | トラックバック
住宅における事故に学ぶ
月刊PROOF 2003.-8 (財)住宅保証機構
篠塚 重夫氏 論文より抜粋
〔住宅事故の概論〕
近年まで住宅事故でトップの部位に位置してい
たサイデイングは、昭和40年代に外装仕上げ材
として市場参入し、その後、登録住宅の外装仕上
げでシェアーを急速に伸ばし、78%強を占めるま
でになった。しかし、品確法の導入に際し、シーリンク
゙部分等の防水性能が保証に耐えられるかについ
て問題となり、その間、工務店等の保証責任問題
の心配もあり、一時シェアーが低下した。
最近は、対応工法等の対策が採られ信頼が回
復してきたようだ。
<減少してきた事故例>
1.凍害による被害:
寒冷地において顕著に現れた
現象。内部結露や浸入した雨水が
サイデイング内部に溜まり、それ
が冬季間に凍結融解を繰り返す事
によってサイデイングが著しい劣化に
陥り、爆裂現象やひどい場合は指
で押すとボロボロと崩れてしまうと
いう状況もある。
これについては、水切り板と
サイデイングの間に隙間を設け空気層
と水抜きを施したことで解決でき
るようになった。
2.サイデイングのあばれ:
サイデイングは吸水すると反ったり
するので、雨ざらしにしない様
な養生方法を採る。
3.シーリング部分の防水:
サイデイグ同士のジョイントはシーリング
材に頼らざるをえない。しかし、
シーリング材はウレタンやシリコンなどゴム質
の物質で外的環境の中で経年劣化
による10年以上の耐用年数は難し
いとされている。
建築的な納まりや様々な改良に
より雨水の浸入を食い止めること
ができるようになった。
<増加してきた事故例>
1.吹き抜けと木造での大きな窓面:
デザイン重視の設計に多く見られ
るケースだが、木造住宅で南面に大き
な吹き抜け状態で窓があるような場
合、台風のような状況になると、強
い風が大きなガラス窓を揺らすことに
なり、しかもそれを支える柱が木造
であれば雨漏りも当然という構造と
言える。
2.木造のタイル貼りは無理がある:
これもデザイン重視の設計にある
ケースであるが、木造住宅に煉瓦
タイル仕上げの住宅は納まりを確実
に行わないと吸水性のある煉瓦タイ
ルから雨水が浸入し、裏地の耐水合
板の継ぎ目から漏水する恐れがある。
雨がかりになる部位には煉瓦タイルは
用いないようにするのが懸命であろ
う。
3.木造住宅における円形の屋根:
木造住宅では台風時など、家全体
がしなり揺れるようにできている。
これに追従する円形屋根を作ること
は現場的には大変困難である。
仮にできたとしても屋根を固定する
妻側の納まりに無理が生じる。
特にデザイン重視の設計で軒の出が
無い場合は、雨漏りの原因箇所を特
定しにくい困難さも伴う。
他に屋根の真ん中に谷ができ雨水
を集めるような複雑な形状屋根や屋
根面の排水勾配が取れない形状の設
計は避けるべきである。
4.トップライト:
トップライトとは屋根に開口部を
設けて明かりの摂取を図る仕組みで
ある。木造住宅の場合は根本的に雨
漏りのリスクを負う設計であることは
否めない。まして円形や複雑形状屋
根などはそのリスクが倍加する。
5.ソーラーシステム:
屋根に置く場合はトップライトの項
と基本的にはリスクは同じである。
特にソーラーメーカー側に屋根と雨仕
舞の専門技術が少ない。
6.寒冷地の内樋:
木造住宅で建物内に雨樋がある設計
の場合は、デザイン的にはすっきりす
るが、樋に溜まった雨水が凍結融解を
繰り返し、ジョイント部分を腐食させ、漏
水につながるケースがある。
<問題事故を放置すると・・・>
木造住宅の漏水は、白アリやカビ等
の発生につながり、アレルギーや喘息など
の居住者の健康被害へもつながってい
く。
<対策・・・基本に忠実に>
木造住宅は自然現象と共生するような
設計が基本である。
シンプルで経験に裏打ちされた設計を
採用するべきである。
屋根勾配、雨樋、窓設計や壁面積、軒の
出など木を腐らせないため=長持ちする木
造住宅を作っていきたいものである。
少なくても50年以上はもつはずである。
法隆寺は1,000年以上美しい姿を保って
いるのだから・・・。
投稿者 地元の建物のお医者さん : 2006年03月21日 10:54 | コメント (0) | トラックバック


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